桃太郎伝承地の諸相

 「桃太郎と言えば岡山」… 吉備津彦命の鬼退治伝承を御伽話桃太郎に結び付け

た宣伝戦略は、昭和37年(1962)の岡山国体を契機に本格的に展開され、観光集客にも大いに寄与しました。
 以来、岡山の観光宣伝の主役は常に桃太郎であり、土産物、イベント、施設の愛称に至るまで、桃太郎抜きには考えられないほどになっております。
 

しかし半世紀を経て、最近は「脱桃太郎」の動きが見られるようになるのです。

 今年4月~6月にJRや観光関係機関が一体となって岡山ディステネーションキャンペーンを実施していますが、その中心テーマは「アート」や「グルメ」であり、桃太郎は主役の座を奪われたのです。

 数十ページの厚いパンフレット冊子を見ても、桃太郎の記述は1ページに満たなく、桃太郎資料の展示施設については、観光マップにも記載されなくなり、岡山=桃太郎のイメージはほぼ払拭されています。

  当局によると「また桃太郎か」という批判もあるため、今回からは新機軸を打ち出しマンネリを脱却したのだという。
 長年にわたり桃太郎伝承地を名乗ってきたはずの岡山の、本音が透けて見える出来事である。

 「桃太郎を宣伝の道具として行政や観光業界が利用してきただけか、それとも地域住民の心の拠りどころとして守り伝承しようとしてきたのか。」


  先日、香川県高松市の鬼無桃太郎祭に参加しましたが、観光客がお金を落とす要素は少ないものの、地元の老若男女総出で桃太郎伝承を学び、その心を育んでいる姿を目の当たりにしました。

 行政の仕掛けに安易に乗らず、郷土を思う人々の素直な心情がよく伝わり好感が持てました。

  最近のCMにみられるように、世は桃太郎ブームである。今年台湾にはテーマパーク桃太郎村がオープンし、倉敷の桃太郎博物館は開館以来最多の入場者数となり、またJR吉備線は桃太郎線と名称が変更されました。

 今後、岡山は流行の行方を見て、再び桃太郎へと回帰していくのだろうか。

「桃太郎を利用して懐を豊かにするのか、それとも桃太郎に学んで心を豊かにするのか…この二つの考え方が錯綜し

ている。」
  

 桃太郎伝承地は、この悩みに直面する時が必ずやってくるのである。

 

 

桃太郎からくり博物館館長・ちくわ笛奏者 

< 住宅正人 >

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