
桃太郎物語は命の尊厳、道徳のお手本
絵本としての桃太郎は、今から約290年前、江戸日本橋大伝馬町3丁目板元の九屋九左衛門によってはじめて書かれ広がっていったのですが、明治に入って出版された国定教科書の低学年用には、浦島太郎、かぐや姫、舌切りスズメなど数あるおとぎ話の中、「桃太郎の話」が選ばれ掲載されたのです。
なぜなら、桃太郎の話には、モラルの三要素とも言う、考えること(良案)、勇気をもって実行に移すこと(行動)、思いやる心(相手)が重要であるということが書かれております。
人間の幸福は、このモラルの三要素に基いて、実働することによって得られるものであり、その報恩に感謝し、喜びを感ずるという東洋思想の道徳のお手本になっているからなのです。
話の中に出てくるものは、人・動物・物でそれぞれの意味は、
・猿 (智) ・・・ 人間に近い能力。智力(思考力)
・雉 (勇) ・・・ 直線飛行する。勇気(行動力)
・犬 (仁) ・・・ 恩を忘れない。仁徳(思いやりの心)
・桃太郎(健康)・・・ 桃から誕生する。命の尊厳(健康)
・黍 (富) ・・・ 衣食足りて礼節を知る。(物的資源)
・鬼(心) ・・・ 人間の性(サガ)。自我(心理)を表しています。
人間の性(サガ)には、利他心(悪いことはできない・良いことはせずにいられない)と利己心(高慢・不満・妬み・嫉み・憎しみ)が共存しており、バランスで成り立っているのです。
あなたは、母親が十月十日命を懸けて産み、家族周囲の献身的な支えを受けて成長してきた唯一無二の存在なのです。
あなたは、社会の恩恵によって生かされています。自分以外のいろんな人々の存在、その方々の考えや行動に感謝しながら、今の自分の命を大切にして生きて行ってください。
桃太郎のお話は命の尊厳と日本的オモテナシの基礎となるモラル(東洋の道徳哲学)が軸になって構成されていて、日本のみならず世界の平和に貢献できる大変意義のある童話ですので、みなさんも大切な方々に伝えていっていただきたいと思います。
< 桑原正佳 >